ハッシャ・バイ / 鴻上 尚史

戯曲。
自分はあまり戯曲を買うことはないのだけど、鴻上さんだけは好きで何冊か読んでいる。何本か演出の舞台を見る機会もあったのだが、残念なことに一番好きなこの舞台は、鴻上さんの演出では見たことがない。第三舞台での上演も見たことがない。残念だ。

なんだか仕事の少ない探偵事務所にある晩やってくる依頼人。
彼女は不思議な夢を見続けていた。
「助けて、殺される」
最後は決まってその台詞。
めまぐるしい場面転換は鴻上作品の特徴だが、この話でも非常に多く場面転換が行われる。
家族ゲームや治療の一環として行われる踊り子たちの会話などのロールプレイング。
微妙に悪意の混じった表現は赤裸々でおもしろい。
あと、母に関するモノローグ。当時の自分にはかなりキタ。

鴻上さんの毒舌が結構好きだ。

だって、世の中キレイゴトばかりでないことを知っているから。
キレイなだけの絵空事に接していたい時もある。
だけど時には、泥に汚れて地に跪いていたい時だってあるのだ。
キレイなものに反発していたいときだってあるのだ。

この「ハッシャ・バイ」はそうした毒で始まりながら、エンディングのカタルシスが素晴らしい。
とても綺麗な終幕なのだ。

青一面の海と白兎。
あの情景を想像すると、なんだか泣きたい気持ちになる。

大好きな作品です。

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