水の伝説 (講談社文庫) 水の伝説 (講談社文庫)
たつみや 章 (2007/07/14)
講談社


<神さま>三部作の〆の作品になります。
なんといいましょうか……私の知る、たつみやさんのもうひとつのPNの方面に近い感じが漂っている作品ですね、三作の中では一番。
そして、三作の中で一番、ハッピーエンドに近い作品だと思います。

小学六年生の光太郎は山村留学をしている。理由はイジメによる引きこもり。山に来た光太郎は、寄宿先の同級生・龍雄のおかげで元気に過ごすことができていた。そんなある日、禁域の乙女が淵でカッパを助け、美しい赤い盃を拾ったことから、光太郎の周りに不思議なことが起こり始め……。

水の神さまである二柱の龍神さまと光太郎と龍雄のやり取りの場面が好きです。すべてが終わったあとの夏祭りで、山姫さまの姿が見えた人と見えなかった人とがいて、それは本当にそうなんだろうと思います。

私には、見えるのだろうか?

三作の中で一番ハッピーエンドに近いと先に書きましたが、それでも人間がこの先やらなくてはならないことは、時間がかかり、人の手もかかり、簡単には為しえぬことであるのは間違いありません。
それでも、それをやっていかなくてはならないのだと思います。

私たちの世界のために。

↑記事を気に入って頂けたらポチっと押してください。<(_ _)>

夜の神話 (講談社文庫 た 104-2) 夜の神話 (講談社文庫 た 104-2)
たつみや 章 (2007/02/10)
講談社


波津彬子さんのイラストがあまりにも美麗なので画像を大きくしてみました。波津さんのイラストは本当に雰囲気があって素敵なものが多いですよね。筆致や色遣いもとても素敵で大好きです。

このお話は、自然と人との暮らしを考える<神さま>三部作の二作目であり、取り上げられているのは原子力発電の問題です。先日の新潟・柏崎の地震でも、原子力発電所の放射性物質の管理などが大きく取り上げられていましたが、私たちの生活が電力に依存している以上、電力をどうやって供給するかは私たち人間すべての問題のはずです。子供の頃からそういうことを考える一端になれば幸いだと思います。

<神さま>三部作の中では、このお話だけが悲しい結末に終わっているので、あまり読み返すことをしませんでした。久しぶりに読んでみて思うのは、それでもどうにかして折り合いをつけて生きていかなければならないという人間の性のようなものです。人間はこれだけのことをして、自然を壊して、自分達の生命すら脅かされるようになって初めて、自分達の罪を知った。それまでに命を絶たれた様々な生物があるのを承知の上で、開発し続けることをやめなかった。

他よりも先んじるために?
他よりも優位に立つために?
他よりも豊かであるために?

そうして作られた「便利で豊かな生活」の中で生きる自分。

完全に否定することはできない。
かといって、単純に享受することもできない。

生きるということは、かくも矛盾に満ちているのか。

そんなことを思うのです。

↑記事を気に入って頂けたらポチっと押してください。<(_ _)>

イサナと不知火のきみ イサナと不知火のきみ
たつみや 章 (2006/05/11)
講談社


たつみやさんの新作です〜〜。やっと読めました!
今回のシリーズも前作同様古代のお話ですが、海の話です。
それがなんか新鮮でいい感じでした。

男勝りな女の子、イサナのキャラクターも好感が持てるし、彼女の周囲の人々もそれぞれ一癖も二癖もありそうですが、今後の展開が楽しみな感じで素敵です。

この先、不知火のきみの仇討ちが、しっかり果たされるといいのですが。

今までのお話は少年が主人公だったわけですが、今回は女の子が前に打ち出されていて、本を読む女の子には共感を得るところも多いのではないでしょうか。たつみやさんだけあって、男に守られてなよなよしているような女の子ではないところがいいですよね。

続きが楽しみです。

↑記事を気に入って頂けたらポチっと押してください。<(_ _)>

ぼくの・稲荷山戦記 ぼくの・稲荷山戦記
林 静一、たつみや 章 他 (1992/07)
講談社


<神さま三部作>の語り始めの作品。たつみや章としてのデビュー作にあたる。
観光事業の土地開発にさらされた稲荷山をなんとか守ろうとする少年のお話。
現代が舞台だけど、土地の神さまが登場したりしてファンタジックな部分もある。佐藤さとるさんの「コロボックルシリーズ」を読みなれた人間なら懐かしく感じるところがあるのではないかな。

巫女の血筋に生まれたマモルはある日稲荷神社のお使いで現れた守山初彦という青年に会う。幼い頃に母を亡くし、漁船に乗る父は数ヶ月間家に戻らない。タバコ屋を営む祖母との二人暮らしに稲荷山の開発事業をなんとか差し止めたい守山さん。彼は実は神社のお稲荷様のお使いギツネで、自然が失われてしまうことで力を失いつつある主のために、人の姿をとって現れたのだということを知る。
と、そんな感じのお話。

たつみやさんのお話はやっぱりやさしくて温かいと思う。
子供には、こういうものを読んでほしい。そして、自分の周りにあるものが一体どういうものなのかをよく考えてほしい。この話も含めて、主人公が読者と想定している子供の年齢に近いから、感情移入するのもしやすいことだろう。
そのあたりはやはりきちんと子供を育て上げたお母さんの視点なのだと思う。
独身でいるのが悪いこととは思わないが、経験が足りないのは否めない。何事も経験してみて初めて理解しえることが必ずあるのだから。
子供に対するお話を書こうと思ったら、実際に子供に接する機会がなくてはだめだね。子供は意外にいろんなことがわかっている。見くびってはいけない。

そういう意味で、きちんと考えることができるように彼らを導いていくのはやはり大人の責任なのだろう。子供たちが何もわからないのは、その周囲の大人たちに某かの責任があるはずだ。子供だから教えないのではなく、子供にもきちんと考えさせることは大切だと思う。

追記
今月、文庫落ちしていたんですね!!三部作が全部文庫になってくれるといいなあ。入手できなかった方は今がチャンスですね。

ちょこっとつけたし。

↑記事を気に入って頂けたらポチっと押してください。<(_ _)>