ターン ターン
北村 薫 (2000/06)
新潮社


昨日電車で隣り合わせた大学生くらいの男の子が読んでいたので…。
彼が読んでいたのはハードカバー版だったので、左上に第○章としか書いてないのですが、「君は〜」というあの二人称の地の文で、ぴぴっと閃きました。でも、ヤなお隣さんですよね。

『ターン』は『スキップ』に続き、『リセット』の前に入る、<時と人との三部作>の中の一作。その通り、三作全ての主人公に、時間に関わる不思議な体験が待っている。
『ターン』では、事故にあった女性が、その時間に囚われるといった内容になる。現実の中では彼女は助かるのだか、意識だけが戻ってこないのだ。意識だけがその事故の当日の朝から事故の時間までを何度も何度も繰り返してしまう。といっても彼女だけがその時空に存在していて他人は存在せず、また彼女は所定の行動しかできないわけではなく、自由に振る舞うことができる。その袋小路に出口はないように思えたが、ある日、一本の電話によって現実世界と通じる道を得る…。
そんな感じ。

最初にも書いたが、この作品に特徴的なのは、主人公が時間に閉じ込められた場面に登場する二人称の文体だろう。人称に二人称があることはわかっていても、実際にはなかなかお目にかかれるものではない。でも、この二人称が、不思議な空間に一人閉じ込められる主人公の孤独を深めることなく物語を進める要因となっている。

結末はハラハラさせられる展開になっているが、それも楽しく読めた。
実は『スキップ』を読んだときに期待が大きすぎてしまっていたため、億劫に思っていたのだけど、読んでみたらおもしろかったので、次の『リセット』は素直に読んでしまったのだった。

北村薫さんは以前国語教師だったということで、男性ながら女性の心理描写も上手だし、文章も上手だし、何より書かれているメッセージも共感できるものが多かった。でも、この三部作しか読んでいないので、今度は他も読んでみたい。

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