カラフル (文春文庫 も 20-1)カラフル (文春文庫 も 20-1)
(2007/09/04)
森 絵都



数年前、部活で顧問の先生が脚色してくれて、さんざん付き合ったお話ですが……、

本物のお話はもっと素敵でした!!

目を覚ますと、そこには天使。
「おめでとうございます、抽選に当たりました〜」なんて言われて話を聞いてみると、自分は前世で取り返しのつかない罪を犯した魂でこのままでは輪廻の輪から外れてしまうところだが、死にかけている人の体に入ってリハビリをするチャンスをもらったとのこと。
自殺を図って死にかけていた小林真としてしばらく下界でホームステイをすることになったのだけれど……。

と始まるお話は、いくつかのどんでん返しののち、感動のフィナーレ。
ガイド役の天使プラプラはとっても適当な天使なのだけど、最後のふたりのやりとりは心にしみる。
今回も涙ぐんでしまいました。
あー、やっぱりこの話、好きだなあ!!

生きていくって、本当に大変なことだよね。
ままならないことなんて、人生にはたくさんある。

それでも。

たかだか数十年のホームステイ。

そんなふうに考えたら、乗り切れないものでもないのかもしれませんね。

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つきのふね つきのふね
森 絵都 (2005/11/25)
角川書店


もう一冊、森絵都で。

さくらは親友の梨莉と最近仲違いしてしまった。それを心配する梨莉の追っかけ・勝田くん。その原因の事件がきっかけで知り合った智さんの家に通うようになるさくらだが、智さんには不思議なところがあって…。
もうすぐ、1999年の9の月がやってくる。
世界は滅びようとしている。

そんな頃の、物語。

最後の、子供の頃の智さんが露木さんに送った手紙が大好きです。
あのたどたどしい文字が綴る言葉は、『アルジャーノンに花束を』の最後のチャーリィの「けえかほうこく」の「ついしん」に匹敵すると思う。
お話としては、もう少し露木さんを出したりしてボリュームがあった方がわかりやすいし、読み応えがあったのではないかな。でも、この不安定な形が、いかにも「つきのふね」に囚われる智さんらしいかも。
でもやっぱり屋上にみんなが集まるシーンは圧巻ですね。泣きそうになります。

今は大変な時代だから、人はすぐに狂う。

本当にその通りだと思う。でも、じゃあ、救いはないの?

この世には小さくても尊いものがある。

私たちはその小さくて尊いものを尊重しているだろうか?
自分たちの手で、癒しとなるその小さくて尊いものを破壊していないだろうか?
自分の内にある、小さくて尊いものを大切にしていきたい。
そして、願わくば私自身も。

誰かにとって、小さくて尊いものでありますように。

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DIVE!!〈上〉 DIVE!!〈上〉
森 絵都 (2006/06)
角川書店


うお!森絵都が直木賞作家に!ということで…。

弱小ダイビングクラブに通う少年たち。存続に出された条件はオリンピック出場。やり手の新しい女性コーチの指導に戸惑いながらも少年たちの戦いが、今、始まる…。

最初に出版されたときには4巻構成で、三人の主人公格の少年が1巻ずつメインとなり、最後の4巻でそれがうまくまとめられて決着をつける、という感じになっていました。
三人の少年たちは、それぞれに違った悩みをもち、苦しみ、壁を越えようとあがきます。中でも私はやっぱり富士谷要一くんが好きだなあと思います。普通の少年ながら普通の悩みに苦慮する知季も孤独な生い立ちと腰の持病を抱える飛沫も、それぞれに魅力的であり、素敵な少年なのですが、要一さまには敵いません!!
父が通うクラブのコーチであり、幼い頃からダイブをやることが自然で、優秀なのが当たり前、という状況で育った彼だからこそ、その悩み苦しむ姿に共感してしまうんですよね…。
そして、要一さまは簡単に屈しないプライドの高い人です。だからこそ、一度はその手に転がり落ちてきたオリンピック出場権を返上してしまうのです。自分を苦境に追い込むことになるとしても、そうせざるを得ない、彼の矜持の高さが好きです。

最後の試合の緊迫感と臨場感は、本当にすばらしいです。

高く、高く、遠い、ところ。
そこに必死で手を伸ばすことの尊さ。

子供には、こういうものを読んでほしい。
大人は、こういうことを子供に伝えてほしい。

子供にも、大人にも、読んでもらいたい本です。親になろうとしている大人には特に、かな。
大好きな話です。

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いつかパラソルの下で いつかパラソルの下で
森 絵都 (2005/04/26)
角川書店


森絵都は児童文学から入ったので、これはびっくりした。

うおー、こんなの書くんだ!!

という感じ。冒頭からいきなりだもんね。驚いた。
といったって、これは一般書なので別に構わないし、お話はとてもおもしろかった。

父の唐突な事故死。主人公は母にある女性と会うのに付き合ってといわれ、そこに出向く。その女性は父の誘いを断ったことが事故の原因なのだというのだが、性的なことに対して父の行き過ぎるまでの潔癖な教育が原因で家を出ている主人公と兄、父の言うことを守って家に留まってきた妹はそれを信じられない。かくして、三人は父の身辺を探ることに…というような話。

なんなんだろう、森絵都の話はどこがどのように好き、ということを明確に説明しづらい。
ただ、好きなんだ。
人物がみんな人の痛みに気付ける人であるような気がする。
わがままな人がいない。
みんな、やさしい人だ。
現実にはこんな関係は成立しないだろう。だけど、御伽噺のようにリアルでないというのとも違う。
それは、人物たちがちゃんと自分の悩みと向き合っているからだろう。
逃げたり、誰かのせいにしたりしていれば、自分は傷つかない。
だけど、解決することもない。
自分の生から逃げ出さないつよさを、みんなが持っている。
そこが好きなのかもしれない。

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